アレクサンダーテクニーク研修生によるピアノレッスン

ピアニスティックノート

皆さんに質問です。ピアノの練習に熱心なあまり、楽譜にこう書き込んだり、自分に言いきかせたりしていませんか?今すぐチェックなさってみて下さい。

速くならない
急がない
あせらない
飛び込まない
忙しいと思わない

遅れない
止まらない
息を止めない
切れない

ぶつけない
押さえつけない
濁らない

はずさない
つられない
右手の音量を抑えて
左手の音量を抑えて
内声を抑えて

などなど。

これらはすべて、〇〇しないで、という否定形の命令文。自分への禁止令です。
そして、恐ろしいことに、いい演奏をするための指示としてこれらは有効ではありません。ほぼ全くです。

人間の潜在意識は、否定形と人称を理解できません。
例えば、お前は馬鹿だ と言いうことは、自分に馬鹿だと言っているのと同じです。

急いではダメ、と言えば、急がない、ではなく、急ぐ、という言葉が無意識にインプットされます。

たとえば、演奏で焦ってしまった時、焦らないように、と言いきかせて、ますます焦ってしまうなら、ある意味人間のメカニズム上、いたって正常で当然な反応なのです。

もし禁止令スタイルで演奏を向上させようと練習した結果、例えば焦らないで弾けるようになったとしたら、それはもう崩れない程たくさん練習をした結果だと思います。

誰かの悪口をいったり、飲み会で愚痴をいうと、あとで自分も落ち込みます。それは人称を理解できない潜在意識の為せるワザなのです。自分を寄ってたかって否定しているようなものです。

逆に、人をほめると自分がハッピーになります。情けは人の為ならず、なのです。そんな人間の摂理をうまく利用するのです。


禁止令を解いて、ポジティブな言葉を使おう、の主題に戻ります。

これらをすべて、今日からプラスの方向に言い換えましょう。やりたいことを表す言葉に変えて下さい。古い指示を消しゴムで消して、新しく自分の言葉で書いてみて下さい。

下記はほんの一例です。そのまま使っても構いませんし、豊かな音楽につながるナイスな表現がありましたら是非教えて下さい。
 
速くならない    そのままのテンポで
急がない      一つ一つの和音の移り変わりを楽しんで
あせらない     一音一音を慈しんで スペースをもって
飛び込まない    自分のペースで 調の変化を味わって
忙しいと思わない  音を味わって 16分音符で遊んで

どうですか?なんかいい気分で演奏できそうになりませんか?もっと自分の創っている音楽を味わう”間”=スペースを持っていいのです。私は、味わう系が好きなようですね(^_^;)。せっかくの一期一会の演奏です。その音はうたかたと消え、二度と出ないのです。味わってあげましょう。

遅れない      流れにのって
止まらない     ラインを意識して 流れて
息を止めない    自由に呼吸して 
切れない      輪郭を意識して 受け渡して
遅くなり過ぎない  自然なリタルダンド

ただ音楽をイメージしましょう。切れないことではなく、絶え間なく流れる音楽を創ることに専念しましょう。

ぶつけない     鍵盤が手を形作る
押さえつけない   キーをなでる
濁らない      響きを味わう 

瑞々しい音楽を創るという、あなたのやりたいことを考えましょう。

右手をはずさない  バスを響かせて、右手はその上にのる
つられない     メロディーを歌って
右手の音量を抑えて 左手を大事に
左手の音量を抑えて 右手を大事に
内声を抑えて    ソプラノを歌って or バスを響かせて

聴いて欲しいものは何ですか?出しすぎないものではなく。もし右手への指示が難易度が高い場合は、思い切って左手重視の指示に変えるのも一案です。右手を心配せずシステムに任せるほうが、いい結果になることが多いのです。両手は協調して動いています。左がいい感じなら、右もまたいい感じになっていきます。

いかがですか?ソナタなど大曲であれば、少なくとも30個くらい?!は書き込みがあるはずです。それだけの禁止令を解除して、すべて素敵な音楽にするためのポジティブな表現に変更するだけで、練習がずっと素敵な時間になること請け合いです。

ピアノ学習者、ピアニストに限らず、日本にはダメだしに慣れ過ぎている人が多いのです。アーティストこそ、もっと自分を大事にすべきです。これだけははっきり言えます。ダメだしまみれの指示より、ポジティブな言葉を使った指示のほうが、絶対に美しい音が出ます。

あなたがマゾでない限り、効果があります。是非試してみて下さい。
  1. AT
  2. / trackback:0
  3. / comment:2
  4. [ edit ]

  1. 2013/12/01(日) 21:39:52 |
  2. URL |
  3. ひょい。
  4. [ edit ]
はじめまして、ひょい。と申します。
よろしくお願いします。
さて、この記事は大変勉強になりました。
私は鍵盤を始めたのが30歳前ぐらいで、独学で全てやってきたのですが、あれから約17,8年・・・
バンドでも演奏するのですが、ライブで思うのがいつも否定形の自己暗示でした。
速くなるな・・・間違うな・・・練習通りに弾くんだ・・・
こんなこと考えてると心臓の動悸が激しくなるだけで結局プレッシャーに耐えられなくなってミスるんですよね。
鍵盤を始めた当時はミスがやる気がでる動機だったはずなのに・・・
この記事を読んで、初心に帰り鍵盤演奏を楽しんでみようと思いました。

Re: ひょいさま。コメントありがとうございます。

  1. 2013/12/02(月) 07:36:55 |
  2. URL |
  3. カモミール
  4. [ edit ]
参考になさっていただけて、私も嬉しいです!!

この記事には、ブログ開始以来の反響があるようで、自分でも驚いています。

私も、あそこをはずさないように、とか、発表会などで自分に否定形の努力をさせてきました。ついには古傷以外にも痛みが出てしまう始末。

アレクサンダーテクニークの門を叩いて以来、こうしよう、という時に、否定形は肯定形に言い換えよう、とレッスンのあらゆる場面で言われてきました。

それなので、以前に楽譜に書き込んでいた指示を、来年のコンサートに向けてすべて言い換えてみよう、と実践したんです。

ひょいさんも、初心にかえり楽しんでみようという気になられたんですね。すでにいいサインのようですね。アンサンブルにもきっといい影響があると思います。

ポジティブな言葉使いで演奏して、どんな変化があったか、よかったら是非お教えください。


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プロフィール

かおり

Author:かおり
アレクサンダーテクニーク研修生によるピアノレッスン
グランドピアノと演奏に役立つ解剖学を使ってレッスンをしています。
HP kaorikitagawa.jimdo.com
もっと上達したい、いい音を出したい、楽に弾きたい、練習しても思うように弾けないというを方を、ピアノを弾く立場からナビゲート致します。

私自身、幾度も行き詰まりながら、再びピアノを弾けるまでに復活し、念願のオーケストラとの共演も果たしました。

アレクサンダーテクニーク教師養成コース研修生として、美しい音と心と体にやさしいピアノ演奏を探求中。
Body Thinkingコーチ。

クラシックをメインに、ソロコンサートなど演奏活動をしています。

TOEIC970・日英通訳。

ジュリア・キャメロンのモーニングページ、アーティスツウェイを唱道しています。

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