アレクサンダーテクニーク研修生によるピアノレッスン

ピアニスティックノート

アレクサンダーテクニーク=ATについて、11/28のレッスン記事で触れたのですが、頭と脊椎の関係にだけ注目して、もう一度取り上げます。

AT。ひとことでいえば、人間の頭が脊椎に負担を掛けずに支えて動けることで、自分の本来の能力が引き出せるという、からだ・自分を使うテクニークです。

頭が脊椎の上で、無理な下向きな力を生まない時=上手く繊細に動ける時、全身の筋肉や神経がうまく機能して、体が自由に動き、思うように活動をコントロールできます。
もっと説明はありますが、ちょっと実例を考えてみました。

では、想像力を働かせてください。

ボーリング

ペンをボーリングの球の穴に刺したとします。緑のボールと矢印をご覧ください。
ペンが垂直なうちはいいですが、ペンだけをホールドして、ボールを傾けたらどうでしょう。
かなりペンに重さがかかりますよね。

それを模した赤いボールをご覧下さい。
ボール3

もし頭がこの赤いボールのようにペンに刺さっていると思って下を向いた時、ペンと同様に首は棒状で、そこに頭の重さがかかったとします。

そんな時、首の筋肉はどうなるでしょう?ものすごく辛いでしょう。
頭はだいたい5キロ前後あります。お米のパックと同じものが首にのっているのです。

傾けてペンを持っている手と腕も大変になってきます。
つまり首だけでなく、肩、背中も疲れるはずです。
ボーリング球を刺したペンにはなりたくはないでしょう?

実は肩凝りの人は、自分でそういう頭の乗せ方を知らずにしていることが多いのです。
私の首も、そのように疲れてカチカチでした。

下図で言うと左のほうが背中がつらそうに見えませんか?
これは一例で、頭の乗せ方はケースバイケースですが、座ってパソコンをしたりする私たちの頭と脊椎の関係が、危機に陥りがちなのがイメージできると思います。
頭と脊椎

出典:The Seated Spine & The Bamback Saddle Seat ISBN:0 646 32703 8. by Mary Frances Gale 1997 ©

どちらかというと、右の図のほうが頭が頸椎の上にうまくのって、脊椎が健全なS字カーブを描いています。
勿論カタチ・見た目がすべてではありません。それでも脊椎の本来のカーブが複数あるのを知り、思い出すのはあらゆる活動において有益です。)

正にこの”頭と脊椎の関係”が、指を使うピアノ演奏に多大な影響があるのです!!

脊柱の一つ一つ(椎骨)の間には椎間板があり、クッションになっています。
(上記の図で黒っぽくなっている所が椎間板です。これは腰椎(1-5)にいいという椅子のHPなので、赤字は無視してくださいね。)

頸椎、脊椎には、脳の延長ともいえる大事な脊髄が通っています。
血管も神経もそこから全身にのびています。

解剖学に詳しくない方でも

頸動脈などとっても大事な血管が首回りにあること
あらゆる活動に不可欠な酸素は、口から吸って首の中の気道を通り、肺から血中に取り入れられること
万一脊髄を損傷すれば体を動かせなくなること

等はよくご存知ですよね。

上で想像いただいた”ボーリング傾け状態”が頭と脊椎の間で起こると、頸椎だけでなく脊柱各所で椎間板が不自然につぶれてしまい、神経コマンドや血液の流れ、ひいては自然な呼吸をも妨げてしまいます。使うべき筋肉もうまく使えず、別の所が余分にカバーするはめになります。

同様に、脳へ向かう血液、つまり酸素の供給も滞る恐れがあります。ストローをつぶしてカルピスを飲もうとするようなものですね。

もしストローがつぶれるような首や肩、背中、脳の状態で、10本の指を動かしてピアノを弾きまくったら、どうでしょうか?

手足に血液が良く流れるでしょうか?神経のコマンドが脳から手先にスムーズに伝わるでしょうか?
なんとなくイメージされましたか?あまり気持ちよくなさそうでしょう?

代わりに、こうしたらどうでしょう?

ボーリング球が、新体操選手の操るボールのように、掌に静かにのっていて、掌を動かしてもボールは自由に手のひらに接する角度を常に微調整できたとしたら? 

ボーリング2

このイラストではボールは指先にのっていますが。
正に新体操のボール演技のように、そっとのせている限り手を柔軟に動かすことが出来ると思います。
(ボーリング球をもってくるっと掌を回すにはちょっと技が必要ですが、手と接する面での微細な動きを許してあげれば、のせたまま自在に出来ると思います。)

実は私たちの頭は、脊椎の上にそのボールのようにちょこんとのって、(掌よりもずっと小さい接点で、まるで2本の指のハラにのっているかのように)、バランスをとって繊細に動けるようになっています。

そして小さい面で常に微細に動けると同時に、たくさんの筋肉で体や脊椎とつながっていますから、逆立ちしようが、鉄棒で大車輪しようが、絶対頭は首から落ちたりしません!(誰ですかマジンガーZのグロッケン伯爵?を想い出しているのは?)

頭を繊細に(掌の上で微調整するかのように)、頸椎(脊椎の一番上)の上で自由に動けることを許してあげること。

それによって、脊椎、そしてそれにつながる骨盤、手も足も、阻害されない本来の無駄のない動きが可能となります。

つまり椎間板が圧迫されないほど、すべての神経コマンドの伝達、血液、リンパ等の循環がスムーズになり、使うべき筋肉が働き、あなたのシステム本来の、最高の性能を引き出せるのです。

呼吸も深くなり、筋肉や臓器への血流も活発になり、脳へのフィードバックもよくなり、五感も鋭敏になります。

具体的には、物がより立体的に見えるようになり、声がよく出ます。
その人本来の体の大きさを取戻し、存在感が増します。
相手の演奏がよく聞こえてきます。
パフォーマーから、講演者から、声や音の質の変化だけでなく、聴衆をひきこむオーラが出ます。
(あくまで体験者と目撃者の感想♬)

長くなりますが、じゃあどうやるの?と思われますよね。

どうやってそうするのでしょうか?

思うだけなのです。Just think of it.
!?!?
え、それが答え?と私も最初はそう思いました。

頭が繊細に動けて、自分全体がそれについてきて、私のやりたいことをやる(ピアノが弾ける)
頭と脊椎の関係を想い出す
協調作用にお願いする
自分の面倒をみる

など、この作用を使いたい時に用いる言葉は人それぞれです。

もともとATは、オーストラリア出身のFMアレクサンダーが英国で確立したものなので、
日本でも私の先生たちは、英語を話す外国人の先生に教わっていました。

Head moves delicately and all of you follows so that you can play the piano.
Remember the head-spine relationship.
Ask your coordination.
Look after yourself.

上の4つの日本語に相当するのがこの英語です。先生によって使う英語も違います。
訳し方は特に規定されているわけではないので、皆さん自分にしっくりくる言い方をしているようです。

これをいかに演奏中思い出せるか。日常生活で思い出せるか。
そのために日夜?、勉強、実践しています。

そして、苦しくなった時、あ、頭と脊椎の関係、協調作用のお願いを忘れてた!と気づくのです。

言葉では難解になってしまいがちなのがATの伝わりにくさなのですが、これがいつも自分だけでできるようになったら、とっても素敵になれるぞ♬

そんなことを考えてレッスンを受けています。
たとえば、自分で頭頂部をぽんぽん触って思い出してからピアノを弾いてみても、違いがあります。誰かに触ってもらうともっと実感できます。

今日のミッション: 頭と脊椎の関係を想い出そう。
  1. AT
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プロフィール

かおり

Author:かおり
アレクサンダーテクニーク研修生によるピアノレッスン
グランドピアノと演奏に役立つ解剖学を使ってレッスンをしています。
HP kaorikitagawa.jimdo.com
もっと上達したい、いい音を出したい、楽に弾きたい、練習しても思うように弾けないというを方を、ピアノを弾く立場からナビゲート致します。

私自身、幾度も行き詰まりながら、再びピアノを弾けるまでに復活し、念願のオーケストラとの共演も果たしました。

アレクサンダーテクニーク教師養成コース研修生として、美しい音と心と体にやさしいピアノ演奏を探求中。
Body Thinkingコーチ。

クラシックをメインに、ソロコンサートなど演奏活動をしています。

TOEIC970・日英通訳。

ジュリア・キャメロンのモーニングページ、アーティスツウェイを唱道しています。

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