タイトル画像

薬指をいたぶらないで! ピアニストのための解剖学

2014.08.21(21:37) 554

薬指をいたぶらないで! 

これには解剖学的な理由があります。

人間は、子宮の中で丸まった状態から(各関節を曲げて)生まれてきます。

赤ちゃんは足をM字に曲げ、手の指を握って眠りますね。

それが成長とともに手も足も伸展するようになってきます。

そう、伸展する筋肉は後天的に発達していくのです。 

手の指を独立して動かしたい!ピアノ弾きの願いです。 

鍵盤へと指を下ろすという、弾く方向を考えがちですが、弾かない音を弾かないため、指を上げることも必要ですよね。

それには指を伸ばす筋肉を使います。伸筋です。 

 ですが、

125 の指、すなわち
親指
人差し指
小指
には、専用の伸展筋、伸筋があるのに対し、(親指や小指にはさらに対立筋とか外転筋とかやたら一杯筋肉があります)

34の指、つまり
中指
薬指
には個別の伸筋はありません。

なんてこった!

総指伸筋といって、2345の指を一括して伸展させる筋肉しか、この2本にはついていないのです。
総指伸筋総指伸筋


まだ中指は、生活上使う頻度が高いので、総指伸筋のうち中指用エリアは発達するのですが、
薬指を使うことはあまりないので、総指伸筋の薬指エリアはたいてい発達しません。

 だから薬指だけ上げようとしても難しいのです。
他の指がくっついて来ちゃうのです。
ピアノ歴30数年の私も、薬指だけ上げようとすると辛いです。 

小さい頃からピアノを習った場合、チェルニーやハノンをやるのには、そういう背景があったのです。

体が出来上がる前から、徐々に練習していれば、ピアノ向けに総指伸筋が発達していきます。

中指と薬指も演奏に必要な程度には動かせるようなり、いろんな曲が弾けるようになっていくわけです。 

125はもとから独立した筋肉がありますから強いでしょ?

構造上、ピアノを弾く時に指の中で一番いうことを聞かないのが薬指、ということになります。 

でも絶対に、無理に鍛えようとしないでください!


ロベルト・シューマンはそれを知らず、大リーグ養成ギブスならぬピアニスト養成器具で指を痛めてしまいました。
クララの父にピアノを習っていましたが、彼はピアニストをあきらめ、作曲に専念せざるを得なかったのです。

 ピアノを弾く時楽器に接するのは指ですが、演奏は体全体、腕全体、手全体のオールスターでする仕事です。

アルゲリッチや中村紘子さんなど、ベテランの域に達したピアニストの演奏を見ると、
指単体で動かしているようには見えません。 

彼女たちは、もちろん伸筋の発達も完璧でしょうが、指を動かす、という固定観念はもはやないのだと思います。
手全体が、鍵盤の奥と手前を自由に動いています。

必要なだけ鍵盤を下げさえすればいいのです。
年と共に、必要以上の筋力がいらない奏法に落ち着いてくるのは理解できます。 

頭と脊椎の関係を思い出し、腕を支える仕事を軸がやってくれること。
そこから指の仕事が楽になってきます。

軸ありきで弾くことです。


ピアニスティックノート


<<指を鍛えるの罠 再録 ピアニストのための解剖学 | ホームへ | キプリングの詩 IF_を現代語訳しました。>>
コメント
コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://kaorilavender.blog.fc2.com/tb.php/554-c02a51df
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)